関本昌平ピアノリサイタル
日曜の午後は、関本昌平ピアノリサイタル@高岡文化ホールでした。
所属しているピティナ(全日本ピアノ指導者協会)高岡支部の主催
ということで、裏のお手伝いにも入らせていただきつつ。
関本さんは現在28歳。公式プロフィールはこうしてはじまります。
『ピティナ・ピアノコンペティションにおいて、1995年B級金賞、
1996年C級銅賞、1997年D級銀賞、1998年E級銀賞、2000年
G級金賞、2001年コンチェルト部門最優秀賞受賞。2003年特級
グランプリ受賞。第1回福田靖子賞受賞。』
2005年のショパンコンクールでは第4位に入賞され、世界的にも
熱視線を集め続けるピアニストの一人になられました。
プログラムは、
ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
ブラームス:4つの小品 Op.119
ショパン:英雄ポロネーズ イ長調 Op.53
J.S.バッハ:トッカータ ハ短調 BWV.911
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第28番 イ長調 Op.101
関本さんは今、「ドイツ3大B」とよばれるバッハ、ベートーヴェン、
ブラームスに傾倒しているとのことで、それにショパンを加えた
重厚なプログラム。
プログラムノートをご自身で書かれるのはもとより、ステージ上でも
マイクを取り、自ら曲目を解説してくださいました。
これらの曲が作曲された背景や、どうしてこの響きは美しいのか、
ベートーヴェンのソナタ28番がこんなに画期的な理由は冒頭にあり、
1番から順番につぎつぎと冒頭をさらって弾くという一幕も。
なんという贅沢〜
演奏はもちろん一流です。印象に残ったのは、ものすごーく洗練された
リズム感と、肉感的な和音の捉え方。音の数が多く分厚い和音が、
とけあうように立体的に美しく響いていました。
小学生の頃から弾いている、と紹介された英雄ポロネーズ、耳に馴染み
すぎるくらいの曲ですが、ここまでわっと沸き立つようなオーラのある
英雄は初めてだったです。
演奏の直前、直後にマイクを取って、まとまった話をする、というのは
かなり大変だと思うのですが、息を乱すことなく、またピティナに挑戦
する小さいピアニストたちにも分かりやすいように、ことばを選んで、
愛をたっぷり込めて話されました。
私はかなりの文系ですが、ことばに裏付けられた演奏は、耳にも頭にも
ずっと深く入ってくるものです。
それぞれの作曲家の、晩年の曲が多かったのもあると思いますが、
まったく老成した、巨匠の域に達しておられるように見えました。
この4月からニューヨークより完全帰国、日本を拠点として活動を
されるそうですが、今からどんなピアニストになられるのでしょう。
リサイタル終了後は、関本さんを囲んで、ピティナ支部の先生方と
交流できる、という非常にありがたい機会が小一時間ほど。
恐縮至極でしたが、かろうじて皆さんに混ざって握手をしていただき
ました。
すこし冷たく柔らかな手を思い出しながら、ブラームスを繰り返し
聴いている今日です。