ラ・フォル・ジュルネの魔法
お天気に恵まれたゴールデンウイークでしたね。
子どもを二人連れてラフォルジュルネ金沢に行ってきました。
ラフォルジュルネは、地元高岡ではそこまで馴染みがないよう
なのですが、クラシック音楽祭です〜。
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”ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭”
とは…
1995年よりフランスのナントで開催されているラ・フォル・
ジュルネの日本版で、2005年に東京でスタートしました。
”一流の演奏を低料金で提供し、明日のクラシック音楽の新しい
聴衆を開拓する”というコンセプトのもとに、選曲はクラシック
初心者から上級者まで楽しめるように配慮されています。
また0歳からのコンサートや幼児が入場できる公演も多くあり、
家族でクラシック音楽を楽しむことができます。
一流音楽家によるコンサートは、1公演が1時間弱と短くて、
どれも1,000〜3,000円程度で聴けるものばかり。
無料コンサートや子ども向けのイベントなど、朝から晩まで
あちこちの会場でいろんなプログラムが催され、期間中は、
街全体が音楽祭でもちきりになります。
今は、世界10カ所くらいで行われているそうですね。
日本では東京の他、金沢、新潟、大津、鳥栖の4都市で、毎年
このGWに開催されています。
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東京での初開催が2005年、そのころは私、丸の内近辺の会社で
働いていたので、何か音楽祭がやってくる!というざわざわ感を
よく覚えています。
2005年のテーマは[ベートーヴェンと仲間たち]で、あちこちの
駅構内にババーン!! とベートーヴェンのイラストポスターが乱立し
かなりの衝撃だったのです。
会場は東京国際フォーラム。ふだんはあまり国際的な印象でも
ないのですが、期間中はそこかしこに演奏家っぽい外国の方が
いたり、スパイスの香り漂う多国籍な屋台が並んだり。
ああ、クラシック音楽は、異国のものなんだと、興奮しながらも
少し寂しいアウェイ気分を実感したのを覚えています。
そんなラフォルジュルネ、in金沢に行くのは今年はじめてでした。
ええと、今年のテーマは
[パリ、至福の時〜フランス、スペインの音楽] です。
ラヴェル、ドビュッシー、アルベニス、プーランク、フォーレ等々、
比較的新しい時代の作曲家たちで、古くからの音楽の様式が自由に
形を変え、印象派とも呼ばれる頃。
あたたかな、色でいうとオレンジとピンクがくすんだ光に当たって
混ざったようなイメージのある時代です。個人的にです。
我が子二人と観に行くのに何とか退屈しないよう、ラヴェルのオペラ
『子どもと魔法』をえらんでみました。
”フランスのエスプリが効いたちょっぴり辛口のファンタジー・オペラ”
とパンフレットには紹介されています。
演奏は、園田隆一郎指揮によるオーケストラ・アンサンブル金沢、
びわ湖ホール声楽アンサンブル。
ストーリーは、主人公の坊やがママの言いつけを嫌がり、怒られて
腹を立て、物や動物にひどい八つ当たりをしたところ、魔法がかかり、
物や動物がしゃべりだして坊やをこらしめる、というものでした。
…そんな坊やに共感したかは置いといて、長男(9歳)ははじめから
おわりまで、食い入るように観ていました。
歌はもちろんフランス語(時に英語)ですが、舞台脇の電光掲示板に
字幕が出て、ストーリーをちゃんと追うことができます。
字幕の読めない長女(4歳)は、迫力ある歌声に圧倒されたように、
おとなしく観ていました。
あとで聞くと、どうぶつがうたいだすのが楽しかったそうです。
…とりあえずひと安心。行ってよかった。
小さい子どもをコンサートに連れていくのは、勇気が要りますよね…
途中、びっくりするような予期せぬ行動に出たりします。
でも、連れていくのが良いんですって。
だって、連れていかないと知らないままだよ、と、尊敬する先生に
言われました。
周りの人に、迷惑にさえならなければ(これが難しいですけど)、
退屈しても、寝てしまってもよいと。
その場にいさえすれば、どこかの一瞬で「これは!」という音に
出会うかもしれない、
それは実際その場にいないと分かり得ない体験であり、子どもが
小さいほどその影響は大きいのかな、という気もします。
さて魔法のオペラを聴いたあとは、金沢駅地下広場で開かれている
イベントブースへ。
自由に楽器体験をしたり、サンドイッチを食べたりしている間も、
どこかで必ず音楽が進んでいて、広い空間に反射し重なり合った音が
ずっと鳴り響いていました。
行き交う人は皆、音楽をからだにまとっているみたいに見えます。
実際、大きな楽器を背負って忙しそうに立ち回る学生さんたちも
多かったですけど、皆、自分の求める音楽を探しているようにも
見えました。
見慣れた金沢駅で、こんな音楽に祝福された光景が見られるなんて
ラフォルジュルネの、熱狂の魔法みたいです。
東京国際フォーラムで感じた寂しい気持ちは全くなく、それは
地元の人達が純粋にこの音楽祭を愛し、誇りに思っているから
なのかな〜 と思いを馳せたりもしました。
この感じ、何か身に覚えがある…と思ったら、高岡の御車山!