ラフォルジュルネ2015のパシオン
ゴールデンウィークはラフォルジュルネです。
毎年、特定の作曲家や時代が取り上げられて
テーマとなっていたラフォルジュルネですが、
今年は11年目ということで新たな切り口、
『パシオン』(passions)がテーマ。
フランス語の”パシオン”は英語の”パッション”
とは少し違い、苦しみや魂の叫び、愛などの
感情を意味するそうです。
サブテーマとして、恋と祈りといのちの音楽。
そしてラフォルジュルネ金沢のテーマは、
『パシオン・バロック』。
バロックの一時代を築いた大バッハ、そして
ヘンデル、スカルラッティが生誕330周年。
この人たち同い年なんですよね…1685年生。
…個人的に今年は3つ良いことがありました。
まずオープニングコンサートが開かれた水曜、
県立音楽堂交流ホールのピアノコンサートに
息子(11歳)が出演させていただいたこと。
交流ホールの、真っ赤な布が敷かれた大きな
ステージはとてもまぶしく、華やかで、正直
うらやましすぎました。生意気…
彼の演奏曲は大切な曲になりました。
大バッハの次男である、カール・フィリップ・
エマヌエル・バッハの情熱的な作品で、この
エマヌエルバッハという人は非常に優れた
音楽家であり、ベートーヴェンなどに多大な
影響を与え、生前は兄弟の誰よりも成功し、
大バッハより有名だったくらいの人ですが、
この方のつくった曲『ソルフェージェット』
ハ短調の高速なパッセージが上り下りして
1分であっというまに終わる曲なのですが、
魂の情熱的な叫び、フランスのパシオンと
いうか、パッション!!という感じもありつつ、
練習しはじめた去年がエマヌエルバッハ生誕
300周年という大きな記念の年で(あとから
気づいた)、今年はこのラフォルのテーマが
バロックになったために幸運にも参加させて
いただくことができ、曲としての力も大きく、
息子のピアノ人生に大きな力を与えてくれた
とてもご縁を感じる曲になりました。
曲とのご縁というのが、音楽にはあります。
ふたつめは、ラフォル期間途中の金曜日。
勤務する金沢の楽器店にふらりとやってきた
(おそらく)池辺晋一郎さん(と思われる方)と
すれ違いました!興奮!
池辺晋一郎さんは、ラフォルジュルネ金沢の
アンバサダーでいらっしゃいます。
そして今まさに私と多くの生徒ちゃんたちが
レッスンで取り組んでいるコンクール課題曲
『いわし雲のうた』の作曲者でいらっしゃい
ます。
池辺さん!池辺さんでいらっしゃいますよね!
ラフォルでお越しになられたのですね!
ありがとうございます!
いわし雲のうた!!今、みんながんばって
弾いています!どんな気持ちでおつくりに
なったのですか?ほんとうにすてきな曲で
ラーラレドーシーの響きが、何度聴いても
うっとりと心に染みます。いつも新鮮な
気持ちで弾ける和声の不思議な魅力があり
”いわし弾きたい!”とみな取り合うように
弾いています。すてきな曲をほんとうに
ありがとうございます!!
と、言いたかったのですが…
(おそらく)池辺晋一郎さん(と思われる方)は
ちょうどエスカレーターの下りに乗られた
ところで、私が駆け寄って池辺さん!と
声をかけ振り向いてくださったところで、
視界から消えられてしまいました…
流れ星にお祈りするように、その残像に
向かって何度も感謝をつぶやきました。
祈りのパシオン…
三つめは日曜日。ふたたび交流ホールの
ピアノコンサート、バッハインベンション
全曲演奏を聴きにいきました。
司会進行は、バロック衣装の青島広志さん。
出演者も華やかで…息子の一歳上の同門の
先輩もおられて、彼の演奏の私はファンで、
その目的の鑑賞でもありました。
なじみの曲の華やかな音、興味深い解釈の
数々はもう、刺激をいっぱいもらいました。
青島さんは、いつ拝見してもそうですが、
音楽へ捧げる愛と知性、それを出力しようと
する情熱が尋常でないものがあります。
この時この瞬間の音楽会を必ず成功させる、
そしてラフォルジュルネを必ず成功させる、
そのためなら何も惜しまないし、それが
生きる喜びだと。
そうだ、いのちのパシオンです。
青島さんのサインもいっぱいもらいました。
これをみるたび、音楽のパシオンを確認する
ことにします。