ギドン・クレーメル×リュカ・ドゥバルグ デュオリサイタル(1)
ギドン・クレーメル×リュカ・ドゥバルグ
デュオリサイタル@サントリーホールに行って
きました。
これまで散々ルカと言ってきましたが、今後
日本では実際の発音に近いリュカ、と呼称を
統一するそうです。
今回の来日プログラムは
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6月6日 サントリーホール「アナザー・ロシア」
ワインベルグ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 op.126(クレーメル )
メトネル:ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調op.5 (ドゥバルグ )
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン・ソナタ ト長調op.134(デュオ)
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6月7日 サントリーホール
ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタト長調 (デュオ)
ラヴェル:夜のガスパール (ドゥバルグ)
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第5番op.27-5(クレーメル)
フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 (デュオ)
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6月5日には兵庫県立芸術文化センターも
ありましたがピアノソロはなく、お目当ては
7日の、夜のガスパール。
今後リュカ・ドゥバルグがピアニストとして
名を残していくならきっと彼の代名詞になる
はずのラヴェル『夜のガスパール』日本初演を
どうしても観ておきたかったです。
グールドのゴルドベルク変奏曲、ブーニンの
仔犬のワルツ、ドゥバルグのガスパール、と
いう具合に。
ヴァイオリ二スト、ギドン・クレーメルは、
御歳69の巨匠です。うちのピアノがお世話に
なってる調律師さんによると、クレーメルは
凄い、衝撃だ、あの音は異次元だ!と手放しの
賞賛で、これは一生聴けないかもしれない競演、
毎度のことながら 迷わず 思い切って、家族を
置いて行かせてもらいました。
サントリーホールの芳醇な木の匂いがほんとに
好きです。8割ほどの入りか、華やかな盛況ぶり
です。
サントリーホール内部は撮影禁止です
ほぼ、ど真ん中の席。デュオのときピアニストの
顔がヴァイオリンと譜面台に少し隠れましたが、
音響はたぶんベストポジションだったでしょうか。
19時を少しだけ過ぎて開演、クレーメルは光沢の
ある紺色のオリエンタルな詰襟、リュカはいつも
のラフなスーツ姿でにこやかに登場し、互いに
親密に目線を交わし、信頼し合っているように
見えましたが、カトリックの神父さんと悩める
青年みたいでもありました。
1曲目ラヴェルのデュオは、フレーズのはしばしで
フランス的に口をつぐむような発音、決して声を
荒げない対談のように知的で、大事なことは敢えて
ぼそぼそしゃべるような弱音の美しさに込み上げる
ものがありました。
この日の曲はフランス語圏のプログラムでしたが、
だいたい、クレーメルとリュカがもともと持って
いる声というか、求める質感が同じ気がしました。
ピアノとヴァイオリンで、鳴らし方は全然ちがう
はずの楽器なのに、見事に溶け合っていて、
なんでこんなパス(音)が出せるんや!
と漫画スラムダンクのようなせりふが出てきます。
前日のロシアものはどんな音だったのだろう‥
つづいて前半の最後に、リュカのガスパール。