ショパン国際ピアノコンクールinASIA
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
年明け早々、ショパンコンクールinASIA全国大会
@昭和音楽大学ユリホール に家族で行きました。
息子(10歳)が出場できることになったのです。
子供達と一緒の東京は3年前に引越して以来初めて
だったので、からっと晴れる関東の冬、あかあかと
照る夕陽にはしゃぐ私たち家族でした。
さて、ショパン国際ピアノコンクールinASIAは、
”国際レベルの優れた演奏家の発掘・育成を目的とし、
優美で華麗な曲想を持つショパンの音楽をアジア地域
に普及させ、音楽文化への貢献を通して日本をはじめ
アジアとポーランドとの文化交流の架け橋となること
を願い開催されるものです”
毎年秋に各地で地区大会(1st stage)が開かれ、
年明け早々に全国大会(2nd stage)、数日後に
アジア大会(final stage)が開かれます。
コンクールの課題曲は全国大会(2nd stage)以降、
ほとんどすべてショパンの曲です。
小学1年から大人まで皆、ショパンの曲を弾きます。
ショパンコンクールは、ショパンの曲を弾くのです。
inASIAでない世界のショパンコンクールもそうです。
チャイコフスキーコンクールやバッハコンクールは、
チャイコフスキーでない曲も弾きますし、バッハで
ない曲も弾きます。
ショパンコンクールは、ショパンの曲だけを弾きます。
こういうのは、ショパンコンクールだけのことです。
それだけ、ショパンのピアノ曲というのが特別な存在
だということです。
ピアノを学ぶ人にとって、ショパンは絶対に特別です。
他の作曲家にはない音の並び、和声、そこに配置される
指のなじみかたは奇跡的です。
今回のコンクールを観ていてずっと思いましたが、
小さい人でも大きい人でも、ショパンに対して絶対に
特別な思いを持って演奏されていることがわかります。
一人一人、それぞれの体の一部に自分だけのショパン
部屋を持っていて、そのドアから曲を解放しています。
こういうのは、他のコンクールにはないことです。
なんか、思いが強い。濃いのです。
当然のことながら全国大会になるとその熱量は倍増し
ステージから目が離せなくてドキドキしました。
2ヶ月前にユンディ・リに影響を受けた息子(10歳)
ですが、今回ショパンの曲自体が初めての取り組み
でしたので、やはり大きな音楽体験のようでした。
これまでの彼の体には無かったショパン部屋が、
練習の過程で少しずつ、一つの和音、一つのフレーズ
ごとに、ふとした瞬間には一気につくられていくのを
見ました。
おそらくショパンを弾く誰もが通る道ですが、これが
同時にピアノを生涯の友とする道への大きな舵きりに
なるだろうと確信しました。
コンクール本番、息子も多分に漏れず思いが強く出て
おそらく強すぎてか練習どおりには弾くことはできず
でも練習以上の出来で熱を帯びたフレーズもあり、
でも結果はふるいませんでした。
でも、ピアノ男子よ、おめでとう。
とかなんとか、何か気の利いたことを言いたいけれど
母としてあまり言えない、何かじんと複雑な気持ちで
ホールをあとにいたしました。
ショパンはいつでも私たちに特別な時間をくれます。