チャイコフスキーコンクールに夢中
コンクールの季節です。
ピティナピアノコンペティション予選が全国
各地で行われる6月も半ばをすぎましたが
第15回チャイコフスキー国際コンクールが
先週17日より開幕しています。
インターネット配信で全ての演奏がライブで
試聴できる時代に感謝です。
期間中はREPLAYで過去の演奏をふりかえり
観ることもできます。
http://tch15.medici.tv/en/performances/
毎日のレッスンの合間に、REPLAYで気になる
コンテスタントの演奏を観るのがすごく贅沢な
日課です。
数ある国際コンクールの中でも膨大な課題曲と
過酷な日程で知られているこのチャイコンに
挑戦される超一流の方々を拝見していると、
おこがましくも、とても元気をもらえます。
レッスンで一緒にコンクールを頑張っている
子供たちも、音楽を美しく表現したいという
気持ちは同じで、見ている向きは一緒です。
その道のずっとずっと計り知れない先にいて
なお、音楽の美しさの前にひれ伏す極限まで
真摯な、才能のある、選ばれた人たち。
その輝かしい光に、光合成をさせてもらえる
気がします。
開幕から今日で7日め、応援しているのは
浜コン優勝者イリヤ・ラシュコフスキー王子。
http://tch15.medici.tv/en/performance/round-round-2-piano-2015-06-21-1900000300-great-ha
順当に進んだ2次、シューマンの幻想曲には
号泣でした。もともと持っておられる音色の
あたたかみに私はひきつけられるのですが、
以前よりもっとまっすぐに、音楽への熱狂を
包み隠さず出しているように見えました。
私の苦手なシューマンの幻想曲、転調が多く
美しすぎるのにどこにも辿り着かない悪夢の
ような音楽に、まさしく真摯に向き合い、
お互いを受け入れ、赦し合うような。
ユンディでこの曲を好きになりかけましたが、
今度は正真正銘好きになりました。
もう一人、強烈で破格な個性を炸裂させていた
フランスのピアニスト、ルカス・デバルグさん
(と読んでよいのかわからないのですが)
http://tch15.medici.tv/en/performance/round-round-2-piano-2015-06-21-2130000300-great-ha
もはや、規格外の魅力でした。
大きな黒ぶち眼鏡、ジャケットの中のシャツも
着崩して、手足の長いジョニーデップのように
洒落た雰囲気をもちながら、髪を振り乱して
研究対象に没頭するアインシュタインのように
我を忘れ、超絶を超えた超絶技巧と音楽世界の
可能性をどこまでも追求し、身をなげうって弾く
さまは、破滅的で、心臓がばくばく鳴りました。
とにかく指が長く、小指が私の薬指の2倍は
ありそうです。でも指先はかなり細く繊細で、
しかも指神経も抜群に優れているときて、
ピアニストになるために生まれてきたような
方ですが、ピアノを始めたのは11歳からだと
プロフィールに書いてあります。ショック。
ゆうべ、家族4人で晩ご飯を食べながらこの
ルカスさんの2次を聴いていたのですが、
ラヴェルのスカルボで、みんな手が止まり
口も止まってましたよね。食欲がなくなる
演奏です。ラヴェルはドビュッシーと違い、
ものすごく緻密に計算し尽くして作曲したと
言いますが(時計職人と言われるくらい)、
その洒落た作風と研究者風情はこの方に
合いすぎるくらい合っていました。
気を取り直してライブ配信に切り替えたら、
最年少の16歳ダニール・ハリトーノフさんが
はじまったところで、かの牛田智大さんに
似たきらきらしたオーラ、颯爽と物怖じしない
打鍵、幅広い音色、超絶技巧も安定して、
さわやかな感動を覚えました。今後もますます
活躍される予感。
それから優勝候補の呼び声高いルーカス・
ゲニューシャス、誰よりも会場の歓声を浴びて
いるらしいドミトリー・マスレエフも気に
なります。
ファイナルの30日まで待ち遠しい贅沢な日々。
終わってほしくない!