“リアルのだめ”ルカ・デバルグへの熱狂(1)
第15回チャイコフスキーコンクールは終わって
しまいましたが、ウェブサイトはまだ終わらず
次回の第16回コンクールが始まる4年後までは
今回のすべての配信映像を観ることができる
ようです。
なので毎日ルカ・デバルグ(ドゥバルグ)の演奏を
聴いています。
*2次予選が終わった後の楽屋でジャズをひいてしまうルカ
今回のコンクールで多くの人々の心を射抜いて、
虜にしてしまったルカ。
最終結果は4位ながらモスクワ批評家賞を受賞し
入賞者ガラコンサートでも特別な位置で演奏、
メディアの扱いや審査員の後日談でも、1位の
マスレーエフと同等かそれ以上の評価と期待で
今なお話題をさらっています。
何しろまったくの無名だったため情報はかなり
少ないのですが、あまりの注目に少しずつ
明らかになってきた背景によると、どうやら
彼は“リアルのだめ”らしいです。
ちゃんとしたピアノの教育を受けはじめたのが
20歳、その当時音楽学校の試験を受ける際に、
課題曲のバッハやモーツアルトでところどころ
違う音を弾いており先生が問いただしたところ
はっきりと答えない、どうも楽譜を見ていない
らしく、全て耳から聴いて覚えてしまうという
ので、先生はその独自ぶりと才能に驚嘆し彼の
合格を決めたそうです。
でもいざ授業がはじまっても彼は現れず、家に
電話すると、彼は不合格だと決めつけて合格
発表を見に行っていなかったとか。
ある記事では、スーパーマーケットで3年間
アルバイトしながらピアノをほそぼそと勉強し
ジャズのグループでも楽しんでいる彼が、
いとも簡単にロシアの政治的影響のある大きな
チャイコフスキーコンクールに参加し、その
音楽は政治的思想に勝利し、これまでの歴史を
変えてしまった、とまで言っています。
はちゃめちゃな前提のルカの活躍はいかにも
ドラマのようで、人気漫画”のだめカンタービレ”
主人公の野田恵を彷彿とさせます。
審査員の評価も高く、4位に不服の人も多い
ようです。今回最も注目された審査員の一人、
カリスマ人気ピアニスト、マツーエフは
『ルカはもはやスーパースター。聴衆と批評家
の心をとらえてしまった。彼の(2次ラウンドで)
夜のガスパールとメトネルの演奏を聴いてから、
こんなコンクールになって良かった、この日の
ためにこれまで長い労力を費やしてきたかいが
あった。自分の音楽祭に招待するつもりだし
(コンクール組織委員長の)ゲルギエフも個人的に
招待するだろう』とのこと。
*2次での演奏『夜のガスバール』第3曲スカルボは孤高の美しさ