PQ(潜在能力指数)って知ってますか?
PQということばを、初めて知りました。
微力ながら音楽教育の現場にいますのに、お恥ずかしいことです。
でもPQって、便利なことばです。モヤモヤがスッキリいたしました。
昨日は、リトミック研究センターの指導者月例研修でして、講師は
我らがリトミック研究センター会長の岩崎光弘先生。
年に一度、富山にお越しになっています。光栄です。
余談ですが、私がリトミック研修を受け始めた頃、某A先生が、
「岩崎先生ってね〜、もう60何歳でいらっしゃるけど、ダンディーで
素敵で、ほら、あの岸部一徳って俳優さんいるでしょ、よく似た雰囲気
で面白い方なのよ…」
とおっしゃっていたのが私には深く刻まれ、何度かお会いした今も
岩崎会長=岸辺一徳さん
と深く繋がっている次第です。
そんな岩崎先生の、PQの話。
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IQ(Intelligence Quotient)知能指数
は、よく知られています。
私たちが子どもの頃にも、時々テストがありましたし、IQが高いと
頭が良く優秀な人だというイメージは定着しています。
IQが高ければ人は幸せになり社会は豊かになる、だからIQを育てる
のがよし、教育もそれを目指そう、とされてきたそうです。
しかし近年、単なるIQの知性だけでは足りず、「心」の知能が重要
という考えから、
EQ(Emotional Intelligence Quotient)心の知能指数
が、世界で注目されるようになりました。
EQは、自分の感情をコントロールし、他者の感情を理解することで、
心を良い状態にする能力を言います。
でも、このEQというのは表に出づらいものであり、指数テストでは
自分の感情をよく見せたいという心理が働くなどで、数値化が難しい
などの指摘がありました。
そこで、次に出てきたのが
PQ(Potentiality Quotient)潜在能力指数 です。
ちなみに今は、HQ(Humanity/Hyper-Quotient )とも呼ばれて
います。
PQは「知恵」の能力とも言われ、未知のものごとにも自分で思考し
解決に導く能力、何もないところから発想できる能力です。
それを司るのは…、脳領域の「前頭連合野」というところ。
ここであらゆる知能(身体的知能、数学的知能、右脳の空間・絵画・
音楽的知能、左脳で言語的知能など)を統括しているというのです。
これが社会的・感情的知性となり、いわゆる「人間力」をつくる、
と考えられているのですって。
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そんなPQ、いつまでも大きくは伸びません。
「8歳が臨界期」だそうです。
私の長男は、臨界期を超えました。長女に期待。
というのはさておき、何がスッキリしたかと申しますと、
リトミックを創始した、ダルクローズのことば!
「子どもや若者への教育は、改造であり、準備であり、再適合で
あらねばならない。
すなわち、神経組織を再教育し、精神の落ち着き、内省力、集中力
を養うと同時に、
余儀ない事情から思ってもみなかったことを行うはめに陥っても、
素直にそれに従い、厄介なこともなく反応でき、抵抗も食い違いも
なく自分の力を最大限に発揮できる備えを整えさせる
ことが肝要である(これが、リトミックの目指すところである)」
と、著書の冒頭で述べている部分の、
これがまさに、
PQ教育
ではないですか〜
リトミックって、説明が非常に難しいのですが、これで少し楽になる
かもしれません。PQさえうまく説明できれば。
ダルクローズのことばはまだまだ続きがありますけれども、まだまだ
微力なこんな私に、力強く響いたことばがこちら。
「理想的な教師は心理学者であり、生理学者であり、また芸術家でも
なくてはならない」
教師は、子ども自身が自分のうちにある豊かな潜在能力を使おうという
意欲を持たせなければならない。
子どもの意欲が、自分の前進を確認し、生まれるのは「喜び」である。
喜びは、熱であり、光である。
子どもの喜びの火花を生み出すのは、教師の役目である。
喜びが永続的に増幅し、更新され、
この上なく高い、とうていできそうもなかった行為を可能にし、
いずれは強く燃えさかって輝き、明日を照らす光となるように。
リトミック教育でいう音楽は、潜在能力=人間力を伸ばすためのツール
といってもいいくらいです。豊かに輝く未来をつくるための。
ピアノ教育にも近年はそうした精神が拡がりつつあり、職業的音楽家
というよりは、素晴らしい音楽芸術教育家と呼ぶべき方が増えたのでは
ないでしょうか。
私もその精神を持ち続けたい一人です。
ダルクローズさんの時代からは、一世紀以上経っていますけれども。