• 教室のこと
  • レッスン
  • コンクール
  • ピアニスト
  • コンサート
  • ピアノマニア
  • その他
堀江ピアノ教室
富山県高岡市のピアノ教室です
  • トップ
  • レッスン
  • れんしゅうノート
  • 雑記帳
  • 体験レッスン
  • お問い合わせ

多崎つくるとリストの巡礼

2013年4月20日

村上春樹が好きです。
今はハルキストなんて言葉があるんですね。
そこまで、楽しげな現象をよぶ感じの作品じゃないのではと思いつつ…
最近の破格の人気作家作品扱いには、あまり熱心な読者じゃない私でも
無駄に気恥ずかしくなったりします。はい、無駄なんですけども。

新作「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読みました。

内容は、過去の村上作品の中でもかなり読みやすいもので、一気に読了。
これまでずっと書き続けられた深遠なテーマはそのままに、出力方法が
よりわかりやすく単純化され、寓話化されたような印象を受けました。

話の中で通奏低音のように流れる、リスト作曲の「巡礼の年」。
村上作品では音楽が重要な要素になることも多いですが、ピアノ独奏曲
がここまで取り上げられたのは珍しかったですね。
たまたまなのでしょうけども、むやみに嬉しいものです。

主人公の多崎つくる(36歳)が、過去の記憶でずっとこだわり続ける
ピアノ曲というのが登場し、それが「巡礼の年」第1年<スイス>の
第8曲『郷愁(ル・マル・デュ・ペイ)』でした。

ええと、リストの「巡礼の年」は組曲になっていて、
第1年<スイス>
第2年<イタリア>
第2年補遺<ヴェネツィアとナポリ>
第3年
の4集からなります。
全部で26曲あり、リストといえばこうでしょう、の超絶技巧な曲から、
この上なく甘く歌われるロマン主義的調べな曲、晩年の宗教的な凄みある
曲まで、ひとくくりには語れないような作品群です。

ええと、スイスの第8曲、、郷愁、、、知らない曲でした。
「巡礼の年」は有名な曲集ですが、限られた曲が単独で弾かれることが多く
(『ペトラルカのソネット』『エステ荘の噴水』『泉のほとりで』『ダンテを
読んで』などなど)、『郷愁』はマイナーと言っていい曲のようです。
知ってる曲で初読みを楽しみたかったのに〜 と、また自分の無知を嘆く
わけでした。

『郷愁(ル・マル・デュ・ペイ)』。
改めてよく聴いてみると、民族調というのでしょうか、素朴ながら不思議に
ゆらめく調性の中で、少ない音の運びで丁寧に心を揺さぶるような展開。
一縷の光が見えたと思ったらはたと曇ってしまったり、つかみどころがない
ような、甘く裏切られたような、でも守られているような———
こちら側のコンディションによって、どのようにでも印象が変わってしまう
ような、なんというか、人が過去を振り返るときに、懐かしく眩しくもなり、
煙たく目を背けたくもなり、とにかくもう完全に蓋をしたくもなるような、
そういう心の揺らぎを村上さんは言いたかったのかもしれないな、などと
思って聴きました。
ああ、いい曲です。

これから読もうかなと思っている方、よろしければこちらを聴いておかれては
いかがでしょうか。

”記憶に蓋をすることはできる。でも歴史は変えられない”

 

Related Posts

道の駅雨晴イメージ

その他 /

ぴあのわ in 道の駅「雨晴」

IMG_0792

作曲家のこと /

【ニュースレター vol.4】 ショパコン最終結果!

instagram_profile_hps2

その他 /

インスタ開設などしました

‹ ユリアンナねえさん › 関本昌平ピアノリサイタル

カテゴリー一覧

  • 教室のこと
  • レッスン
  • コンクール
  • ピアニスト
  • コンサート
  • ピアノマニア
  • その他

アーカイブ

  • 2021年10月
  • 2021年8月
  • 2021年1月
  • 2020年11月
  • 2020年3月
  • 2019年2月
  • 2018年10月
  • 2018年6月
  • 2017年8月
  • 2017年2月
  • 2017年1月
  • 2016年12月
  • 2016年9月
  • 2016年8月
  • 2016年6月
  • 2016年3月
  • 2016年2月
  • 2016年1月
  • 2015年12月
  • 2015年10月
  • 2015年9月
  • 2015年8月
  • 2015年7月
  • 2015年6月
  • 2015年5月
  • 2015年4月
  • 2015年3月
  • 2015年2月
  • 2015年1月
  • 2014年12月
  • 2014年11月
  • 2014年10月
  • 2014年9月
  • 2014年8月
  • 2014年7月
  • 2014年4月
  • 2014年2月
  • 2014年1月
  • 2013年12月
  • 2013年11月
  • 2013年10月
  • 2013年9月
  • 2013年8月
  • 2013年7月
  • 2013年6月
  • 2013年5月
  • 2013年4月
  • 2013年3月
  • 2013年1月
  • 2012年12月
  • 2012年11月
  • 2012年10月
  • 2012年9月

Back to Top

©Horie Piano Salon 2020