ふるさとの空
先週末、歌の伴奏をさせていただきました。
昨年新たにつくられたばかりの”富山県民の歌”、
『ふるさとの空』といいます。
http://www.doyukai.org/furusato/
作曲は久石譲さん!
毎年行われている、母校の高岡高校同窓会総会、
今年の幹事である25回生の方々が、ソプラノ歌手
高野百合絵さんをゲストに『ふるさとの空』を
歌うという企画で、その伴奏のご依頼をいただ
いたものです。
私は49回生です。卒業して十数年…たちますが
総会は一度も出席できておらず、にもかかわらず
このような形で関わることができ、こんなに
光栄なことはありません。
高野百合絵さんは、富山市出身の現役音大生で、
『ふるさとの空』ソプラノ独唱音源のレコー
ディングをされた方です。
不勉強で存じ上げなかったのですが、2011年
高校3年生で3つの全国コンクールで第1位を
取られ、2012年春の選抜高校野球の開会式で
国家を独唱されるという、華々しい経歴と才能を
をお持ちでいらっしゃいます。
同窓会当日は、高野さん独唱の『ふるさとの空』と
もう1曲『私のお父さん(O mio babbino caro)』
を歌われるということで、光栄なことにこの2曲
伴奏でご一緒させていただきました。
高野さんの声は、独特のふくよかな重みがあり、
いわゆる”ドラマティックソプラノ”という分類
になるそうですが、
(ソプラノの中でも声の種類の軽いものから
”リリコ”や”スピント”などがあり、最も重いのが
“ドラマティック”なのだとか)
本番前日の伴奏合わせではじめて間近で聴いた
歌声は、ただ重いだけでなく…あたたかいのに
ストイックというか、神憑った高貴な精神性と
それを冷静に見守る客観性、のような、色んな
側面を持っている気がしました。
『ふるさとの空』は、雄大な日本海と立山連峰に
囲まれ、四季折々に豊かな表情を持つふるさとを
敬う心が表現されていますが、この雄大さとは
背中合わせにある大自然の厳しさに、富山の人々が
耐え抜いていることへの誇り、それを見守り慰める
のもまた、大いなる自然、というような、まさに
富山の人々の県民性をうたった名曲だと言えると
思うのですが、これに高野さんの歌声は本当に良く
似合って、特に本番前リハーサルのしんとした広い
会場で、マイクなしで歌われたときの非日常感、
魂を掴まれた感は、正直伴奏どころではなく、
すぐにピアノの手を止めてステージの真正面に
走っていって座りなおし、微動だにせず聴き入り
たい衝動にかられるほどでした。
…さて本番では、大盛り上がりの会場の中でなお
サプライズ的に登場した高野さんが、美しいピンクの
ロングドレスをなびかせて歓声とともにご登壇。
まず『私のお父さん(O mio babbino caro)』を
マイクなしで華麗に歌い上げ、続いて『ふるさとの空』
をしっとりと独唱。
賑やかな客席がしんと釘付けになり、伴奏の私までも
じっと釘付けになってしまうオーラを、若くして持ち
合わされている高野さんでした。
さて独唱の後、会場の興奮冷めやらぬ中、25回生・
合唱隊の皆さんがご登壇。
お忙しい中何度も練習され、きっと様々な思いを歌に
込められた渾身の合唱は、とても胸を打ちました。
伴奏をしていて身体がふわりと浮き立つような、
大きく満たされた心持ちになりました。
7月の練習にはじめて参加した49回生の私を、心からの
温かい笑顔で迎えてくださり、いつも気さくに丁寧に
話しかけてくださり、どんなことにも細やかな心遣いを
惜しまない皆さんのように、24年後なれるのだろうか?
合唱が終わってからは、そんなぼんやりと途方もない
憧れの心持ちで会場を後にしました。
本番を終えて、高野百合絵さんと