佐渡裕×ボジャノフの人間性と悪魔性①
佐渡裕指揮 兵庫芸術文化センター管弦楽団
10周年記念ツアー@富山オーバードホール
に行ってきました。
佐渡さんが大好きです。『題名のない音楽会』
を観ていて佐渡さんを好きにならない人って
いるのでしょうか。
音楽家としては規格外の187センチの長身、
京都弁まじりのトークにも表情にも、そして
もちろん音楽も規格外の情熱とユーモア。
もしご活躍の場が俳優だったら、間違いなく
理想の上司の殿堂入りになる方と思います。
ピアノコンチェルトのソリストはあのボジャ。
エフゲニ・ボジャノフは2010年のショパン
コンクールで4位となり、3位のトリフォノフ
とともに日本でも大ブレイクした奇才です。
その型にはまらない独自のスタイルの演奏は
審査員をうならせ、アルゲリッチは審査員で
ありながら許されていない拍手を彼だけに
送ったほどでしたが、4位という結果に満足
しなかったボジャノフは表彰式を欠席した
というエピソードが有名になりました。
独自すぎる世界観は言葉のはしばしにも現れ
Twitterではボジャノフの発した(発しそうな)
言葉を集めた“ボジャbot”があるほどです。
私もフォロワーです。
ボジャノフが富山に来ることはもう二度と
ないだろうなと思い、歴史を観る気持ちも
あって足を運びました。
会場は4階席までぎゅうぎゅうでした。
開演時間、ステージが明るくなると、なんと
ひとりで佐渡さんがさっそうと登場。
“普通はオーケストラがチューニングして
しーんとなったあとに登場するもんですがね、
その前にちょっと指揮者がしゃべるのもまあ
ええでしょうと思って、しゃべってます”
とはじまりました。
会場拍手で、すでに心をつかまれてました。
トークではだいたい以下のようなお話を。
今回のオーケストラ兵庫芸術文化センター
管弦楽団が、阪神大震災の傷が癒えぬ兵庫で
誕生してから10周年であり、地元以外の外に
出られたのは今回が初めてで、ツアーとして
富山がその初日であること。
楽団は35歳以下の若いアーティストで
オーディションされ、3年で入れ替わる
ルールで今なお発展途上だということ。
佐渡さんは富山で振るのははじめてだけど、
それを仲良しの立川志の輔さんに話したら
大量のますずしが送られてきたこと。
ソリストのボジャノフは、佐渡さんがずっと
応援している辻井伸行さんが優勝したときの
コンクールでファイナリストになっており、
そのとき気になって、その後やはり気に入った
ピアニストで、物凄く独特だということ。
そして今日の演奏曲の解説と注目ポイント
などを、とても軽妙に話されました。
すでに心はほっこり満たされていました。
トークがあるのとないのとで、その後の
演奏の聴き方が随分変わるものです。
その少しの間、開演時間にちょっとだけ
間に合わなかった観客の方も席に案内され、
本来、一曲目を扉の外で聴かなければ
ならなかった少しの人にも、優しい配慮
だったのかもしれないなと思いました。