ふたごちゃん
秋が深まってまいりました。
朝晩の気温も下がり、肌が久々の寒さを思い出して
きゅっと縮こまってきますが、これが秋でしたね。
私は秋生まれなので、すごく落ち着く季節であり、
どうか冬にはならないでほしい、と名残惜しい季節
でもあります。
さて、生徒さんの中に、ふたごちゃんがいます。
年長さんの女の子で、この冬で1年のおつきあい
になります。
お母様は大阪のご出身で、ふたごちゃんもおおむね
関西弁。
レッスンは終始、しゃべりっぱなしの1時間で、
ふたごちゃんたちが繰り出す数知れない小ボケを
私はひたすら突っ込み、あっという間にレッスンが
終わります。
「え、これ、Cポジション?しーやんな。はい、シ」
すかさずもうひとりも
「はい、シ」
ひとりがボケると、必ずもうひとりもボケずには
いられません。やまびこのようです。
「この曲、いややー。うふふふ」
とひとりが私の頬に頬を寄せ、近っ!と言った次の
瞬間、もうひとりの頬が今度は私の肩の上にぺとっ
とくっついてきます。磁石のようです。
そんなふたりと初めて会った体験レッスンでの感動は
忘れられません。
私は、母親が双子で、従兄弟にも双子の兄弟がおり
双子さんには馴染みがあるのですが、レッスンで
見させていただくのは初めてでした。
何が感動的か、とにかく、ふたりの一体感です。
歌声の一致!
リズム感の一致!
呼吸の一致!
理解度の一致!
間違えるところも一致!
”アナクルーシス”の完全一致!
(アナクルーシス=リトミックで重要な要素である、
音を出す前準備の緊張した状態のことです)
演奏するピアノの音色も一致!!
当然といえば当然な部分もあるかもしれないのですが
この一体感は芸術的なほどの感動を覚えました。
ペアレッスンでもグループレッスンでも、個人以外の
レッスン形態の場合に必ず発生する「差」が、全く
といっていいほど無い。
この「差」が楽しみでもあるわけなので、どちらが
良いということでは全くないのですが、こんなことが
あるなんて!という純粋な発見の喜びです。
自分には到底なし得ない、完璧なシンクロを間近で
見ることの、それが音楽に解け合うことの、そして
それを指導させていただくことの興奮!
世の中の双子さんに向けて、ぜひ、ふたりで何かを
音楽をやってください!
と、声を大にして言いたい気持ちでした。
彼女たちはお互いの影響もあってかぐんぐん上達し、
また握力が鍛えられているようで、指のフォームが
非常にしっかりしています。
聞くと、普段から外遊びが多く、のぼり棒や雲梯が
得意だとか。
この、何かにつかまる力というのは、ピアノにも
すごく良い効果があるそうなんですよ。
薬指、小指に力が入らずうまく弾けないという方、
よろしければつかまり遊びをおすすめします。
さて今月に入って、ふたりははじめての、連弾に
取り組みはじめました。
これ何より、私の念願です!