ピアノひみつ道具②バランスとレガートの印象づけに
*はじめに『ピアノひみつ道具〜練習のつらさをやわらげる処方箋』をお読みいただけると幸いです
ピアノひみつ道具②
バランスとレガートの印象づけに
『バランスボトル』
透明なボトルに液体ノリと水を1:1の割合で
ボトルの3分の1くらいになるよう入れます。
飾りに小さなビーズを入れました
■目的1:親指と小指などバランス対策に
□使用法
・左手の伴奏型、分散和音でド、ミソを弾きたい
とします。
小指のドを強く、親指のソは弱く弾くことで
バランスをとりたいので
①左手でボトルを持ちます
②強くしたいのが小指のドなので左に傾けます
③傾けたまま親指をトントンと軽く動かします
④その手の状態(角度)をキープしてボトルを
手からはずし、鍵盤でも同じ動きをします
⑤小指のドをしっかり、親指のソを軽く弾けたら
成功です。
まだ親指に力が入るようなら再びボトルで
“お水がこっち(右)に傾いてこぼれちゃうよ。
こぼさないように親指を動かしてね”
と声をかけ、ボトル⇄鍵盤をくり返します。
□ねらい
・力が入りやすい親指の力を抜きたい、そして
力が入りにくい小指の力を入れたいとき、
コントロールしやすいイメージをつくります。
・伴奏型に限らず、右手のメロディーで小指を
きかせたいとき、また左で親指の内声を太く
出したいときなどにも使用します。
□実例
・レッスンで伴奏型が出てくると、必ずこの
バランスの壁が立ちはだかります。
普通に弾くと誰もが親指を強く弾くので、
これまではスポンジ状のものに指を沈めて
深さと浅さを説明していたのですが、なかなか
動きとして伝わらないことが多く苦労して
いたものです。
このボトルを思いつき、”こぼさないでね”
と声を掛けるとすぐにできるようになる
お子さんがほとんどでした。
日常生活の動きで、ペットボトルの飲み物を
コップに注いだり、ごま塩などをふりかける
動作が近いようです。声がけとしてビーズの
”お塩をちょっとだけかけるんだよ”というのも
効果がありました。
■目的2:レガートの印象づけの助けとして
□使用法
・一つのフレーズでレガートを美しく弾きたい
とき。フレーズのはじめから終わりまでの間
ボトルをできるだけゆっくり傾けて、液体の
動きを観察します。
“きれいでしょ、こんな感じで弾いてね”と
声をかけて、なめらかなレガートのイメージ
をつくります。
できるだけゆっくり傾けます
□ねらい
・レガート奏法の視覚的な助けの一つに。
□解説と実例
・このボトルの中の液体は、スノードームを
手作りするときの割合です。お土産屋さんに
よくある、ドーム状のビンに雪だるまなどが
入っていて、ビンを振ると白く細かい紙(雪)が
舞い散るようなあの置き物です。
スノードームの雪は、ゆっくりと舞い降りて
くるのが心地いいですが、正体は水にノリが
混ざっているのでした。
液体がゆっくり揺れるのを観賞するだけで
癒されて力が抜け、レガートのイメージに
近づくかも、と使い始めました。
中のビーズは曲のイメージで変えても
・4歳で始めた女の子、一つ鍵盤をねらうたび
手首をふって押し込むように弾きます。
元気いっぱいでエネルギーが有り余っており
言葉で何を言っても、なかなか伝えることが
できませんでした。
ボトルを静かに見つめることは効果があった
ようで、その後は黙って液体の重さの移動を
再現しようとすると、3回くらいできれいな
レガートができてきました。
すっかり忘れてぶんぶん手首をふることも
ありますが、その都度ボトルで直ります。
彼女には気持ちを鎮める目的でも有用です。