ガーシュウィンと矛盾
ガーシュウィンが大好きです。
なぜ好きか?
これまでの人生で何回か考えてみたことがあるのですが、どうも
理屈ではなく、からだの細胞レベルで惹かれる好きさのようです。
ガーシュウィン伝記映画の傑作『アメリカ交響楽』は、もう、、
たまりませんでした。
ガーシュウィンは、38歳の若さで他界してしまうのですが、
映画は死後8年後に製作されており、近しいガーシュウィンの友人が
ご本人役でたくさん出演しています。
ガーシュウィンの活躍の後ろで、嫉妬混じりで皮肉屋の二番手に
甘んじる、ちょっといい味の友人ピアニストが出てくるのですが、
この方もご本人。
オスカー・レヴァントという素晴らしいピアニストで、映画の最後は
彼の渾身のコンチェルトで締めくくられます。
ガーシュウィン音楽の真髄を聴いたと思いました。
作品中、忘れられないガーシュウィンの恩師・フランク先生の台詞。
私がなぜ、多くの人がなぜ、ガーシュウィンに惹かれるのか、
ひとつの答えがあったように思います。
”現在のアメリカは、新しい事と古い事が混じり合っている。
君の中にもアメリカと同じ矛盾がある。
羊と狼、理想と野望…
その二つをうまく体現出来れば、君はアメリカの声になれる”
矛盾。
この矛盾は、だれもが心に持つものかもしれないです。
アメリカだけでなく、だれもの心の声だったとしたら。
大きな矛盾を抱えながらも、あたたかく面白く、行きつ戻りつして
それでも前へ進む。
矛盾しているようで、実は約束された完璧なハーモニーでつくられた、
ガーシュウィンの音楽。
おもしろきことも無き世をおもしろく
すみなすものは心なりけり
なんていうことも思いなおす映画でした。
Gershwin plays gershwin