小指が短い
ピアノ講師なのですが、手が小さいです。
とくに、右手の小指が短い。ひじょうにコンプレックスです。
右小指のつけねの骨が、がくんと深く埋まった感じで陥没しており、
水掻きのすぐ上から第2関節がはじまっている形状。
水掻きから小指の長さをはかると、4㎝きっかりです。
インターネットで検索してみたら、
「短指症」という立派な名前がついていました。
ピアノを一人前に弾くためには、オクターブ(ドからドまで)が届く指は
必須。
この小指のおかげで、小学6年になってもオクターブがまともに届かず、
当時のピアノの先生に気づいてもらえず(自分から言えない性格でした)
コンクール課題曲をミスタッチし続けて怒られた、苦い思い出があります。
私は小指が短いから、ピアノの世界では生きていけないかもしれない、
とそのとき思いました。
その後、小指問題はなんとか先生に伝え、フォローしつつのレッスンで
コンクール等にも励みましたが、オクターブで思うようなボリュームが
期待できないため、テクニカルな曲に手を出せず、どこか不完全燃焼に
終わっていました。あとから思うと、小指を言い訳にしていました。
さて大学進学で上京し、ピアノレッスンはしばらく離れました。
日々自分の好きなように、好きな曲を手当たり次第弾くようになりました。
指番号も平気で変えます。
そして、今まで小指問題で敬遠していた曲も弾いちゃえ、となったあるとき、
ふと気づいて、すべてのオクターブを小指ではなく、薬指でとってみたら、
びっくりするほど弾けるのです。渇望していたボリュームも出る。
そのとき弾いた曲は、ショパンのバラード1番とスケルツォ2番でした。
大好きな曲が自分でこんな風に弾けるなんて。
ああ幸せ、と泣きました。
薬指はもともと痛めやすい指だそうで、オクターブで使いすぎるのは
一般的にはあまりおすすめできないようなのですが、
やむなく私の薬指にはそれ以来、頑張ってもらっていることになります。
ありがとう薬指。
ちなみに、極端に短いのは右手の小指だけで、左手の小指は人並みな短さ
というくらいです。
これは、遠い記憶があるのですが、小学2年までは左の小指も右と同じくらい、
極端な短さでした。
よく友達同士でも比べていて、
「なんか自分の指、とくに小指、短いんじゃないか。長くなれえー」と、
いつも左の小指をひっぱって伸ばしていたんです。
(当時、指を痛めたらひっぱればいいという教えがあり、なんとか自分の力で
よくなるかもしれないという、子どもらしいあの感覚です)
それが明らかに矯正につながったか、は定かではないのですが、
左手の小指については、その後右手を追い越して、一定の長さに成長しました。
左手のオクターブはベースや和音をつかむので、右手以上に指の長さが大必須ですが、
なんとか人並みのボリュームでつかんでくれます。
ありがとう小学2年の自分。
…という感謝は定かではないかもしれないのですが、
今、ピアノが弾けること、ピアノを仕事に出来ることには、毎日すべてに感謝です。